吃音のディストラクション効果とは?ディストラクションの方法は?
吃音のディストラクション効果とは、普段とは異なるリズムで話したり、身振り手振りを交えて話すことでどもりが改善される効果のことです。
ディストラクションとは、注意転換という意味で、意識的にいつもと話し方を変えることにより、吃音の症状を抑える方法となります。
ディストラクションによる吃音の改善は、現在も民間の吃音矯正所などで行われている方法の1つで、吃音の改善方法としては一般的です。
そこで、吃音のディストラクション効果について、またディストラクションの方法についてまとめました。
吃音のディストラクション効果とは?
ディストラクション効果は、吃音に向けられている注意を他にそらすことで効果を発揮します。
吃音症の方は、話す際にどもりが気になってますます吃音の症状が強く出てしまうケースが多くあります。
そこで、話し方や声の出し方を変えるなど、他に注意を向けることで、吃音への意識を軽減させ、どもりの症状を抑えるのがディストラクションです。
ディストラクション効果は、個人差がありますが、よほど重症の吃音症でなければ、多くの方が一時的に吃音の症状が改善されます。
ただ、ディストラクション効果が得られるのは、せいぜい数ヶ月程度で、体が慣れてしまうとまたどもりが出てしまうというデメリットがあります。
ディストラクションの方法は?
ディストラクションの方法は様々ありますが、よく用いられる代表的なやり方としては、話し方や声のリズムを変えるというものです。
また、会話をしながら、手や足、胴体を動かしたり、何らかの刺激を与えながら話すという方法もあります。
どういった方法が合うかは、人それぞれ異なりますが、いずれにせよ意識をしていつもと話し方を変えるというのがディストラクションのやり方となります。
声の出し方を変える
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声の出し方を変えるというのは、普段より高い声、あるいは低い声で話すといったことが該当します。
また、声のボリュームを落としてささやくように話す、逆に普段よりも大きな声で話すといった方法もディストラクション効果が期待できます。
話し方のリズムや抑揚を変える
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「おーはーよーうー」のように語尾を伸ばしたり、イントネーションを変えるなど、抑揚やリズムの変化もディストラクション効果があります。
例えば、関東出身の方が関西弁で話したり、わざと語尾を上げるように話すといった普段とは異なる話し方をすると効果的です。
話しながら体を動かす
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話しをしながら、手足をバタバタさせたり、頭を動かすなど、いつもはしない行動を取りながら話をすると吃音の症状が抑えられます。
また、足や手を組むなど、話すときの態勢を変えることでディストラクション効果が現れる場合もあります。
口や体に刺激を与えながら話す
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話す際に唇をかむ、歯を合せたまま話す、体のどこかをつねりながら話すなど、何かしらの刺激を与えることで、吃音から注意がそれてどもらなくなる場合があります。
ディストラクション効果はいつまで続く?
ディストラクション効果が継続するのは、長くても4か月程度と言われています。
つまり、ディストラクションが成功して一時的に吃音が改善されたとしても、また4ヶ月後にはどもりが戻ってしまうということです。
なぜディストラクション効果が永久的に続かないかというと、体が注意転換の方法に慣れてしまうためです。
ディストラクション効果を期待して話し方を変えても、時間が経つにつれて普通のことになってしまい、ディストラクション効果が薄れてしまうのです。
ディストラクションの繰り返しは危険?
ディストラクション効果が薄れたら、また別の方法でディストラクション効果を得ようと何度も繰り返し話し方を変える方もいます。
ディストラクション効果は、一時的ではありますが、かなりの確率で吃音が改善されるため、ディストラクションに依存的になる方も多いのです。
ただ、ディストラクションによって得られる効果はいつまでも続くものではありませんので、数ヶ月経つとまた元に戻ります。
すると、一時的にどもりが改善した分、挫折感が強くなり、精神的にかなりのダメージを受けることになります。
精神的な不安やストレスは、吃音の悪化を招きますので、さらに症状が悪くなるという悪循環に陥ってしまうのです。