不妊治療のリスクは?人工授精や体外受精、顕微授精は危険性が高い?
現在の日本では、5組に1組の夫婦が不妊で悩んでいると言われています。最近は有名人の夫婦が不妊治療への取り組みをオープンにしているといったこともあり、一般的にも不妊治療という言葉が広く認知されるようになりましたよね。
そのため、子供を望んでいるのになかなか妊娠ができない場合、不妊治療に取り組む夫婦も多くなっています。
不妊症で悩んでいる方にとっては、妊娠できる可能性がある不妊治療ですが、実は不妊治療にはあまり知られていないリスクもあるのです。
そこで、不妊治療のリスクについて、また人工授精や体外受精、顕微授精は危険性が高いのかについてまとめました。
不妊治療のリスクは?
不妊治療には様々な方法がありますが、特にリスクについて考えなければならないのは、人工的に卵子と精子を受精させる人工授精や体外受精、顕微授精です。
不妊治療の初期段階では、排卵日と性交渉のタイミングを合わせるタイミング法に取り組むことになりますが、タイミング法はあくまでも自然妊娠になります。
ただ、受精する際に人の手が介入する場合、どうしても自然妊娠にはないリスクが生じる可能性があります。
特に、精子と卵子を体外で受精させる体外受精や顕微授精は、母体はもちろん、生まれてくる子供に影響がある場合もあります。
では、実際に不妊治療にはどういったリスクがあるのでしょうか。
人工授精や体外受精、顕微授精は危険性が高い?
人工授精や体外受精、顕微授精などの不妊治療では、妊娠するまでの過程はもちろんですが、妊娠してからもいくつかのリスクがあります。
もちろん、自然妊娠での出産でもリスクはありますが、不妊治療の場合はさらに様々な危険性を考慮しなくてはなりません。
ただ、不妊治療を行うクリニックの中には、治療に伴うリスクを細かく説明しない場合もありますので、自分で十分に把握しておく必要があるのです。
卵巣過剰刺激症候群(OHSS)
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卵巣過剰刺激症候群(OHSS)は、卵子を採取する際に排卵誘発剤を使用することで起こる可能性があります。症状としては、腹部の痛みや張りなどが見受けられますが、すぐに対処できればそれほど問題はありません。
ただ、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)は重症化すると血管から水分が漏れてお腹や胸に水が溜まってしまい、呼吸障害になる場合があります。
また、血栓ができて脳梗塞や心筋梗塞などを引き起こす可能性もありますので、非常に危険なのです。
麻酔の副作用
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卵子を採取する際には、麻酔を行う場合があります。ただ、人によっては局所麻酔や静脈麻酔によってアレルギーを起こし、血圧が低下したり、発作が起きる危険性があります。
採卵時の出血
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卵子は卵巣から採取しますが、卵巣の近くには太い血管があります。そのため、仮に採卵の際に血管を傷つけてしまうと、大量に出血することになります。あまりにも出血量が多い場合は、開腹手術をして止血をする必要がある場合もあるのです。
多胎妊娠
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体外受精で双子や三つ子などの多胎妊娠になる確率はおおよそ20%程度と、自然妊娠にかなり高いと言われています。多胎妊娠は1人の妊娠に比べて、胎児の発育不全や妊娠中毒症などになる確率が高く、母体や胎児の死亡率も高くなっています。
子宮外妊娠
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体外受精や顕微授精で受精した受精卵は、もちろん母体の子宮の内部に戻されますが、受精卵が移動することで、子宮外妊娠になる可能性があります。
不妊治療ではまだ解明されていないリスクも多い
体外受精や顕微授精では、自然妊娠での出産に比べて、早産になったり、子供が先天性異常を持っている可能性が高くなると言われています。
ただ、こういったリスクは確実に解明できているものではなく、あくまでもこれまでの結果からの予測に過ぎません。
というのも、体外受精などの不妊治療が行われるようになってから、まだ50年足らずということもあり、現状では分かっていないことも多いのです。
そのため、今後の研究次第では、まだ知られていないリスクや危険性が出てくる可能性もありますので、安心して不妊治療が出来るようになるまでには、もうしばらく時間が必要になると言えるでしょう。